<原著>変死体のアルコールについて
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概要
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変死体の法医学的検査において,死者が生前に飲酒していたかどうかを知ることは,極めて重要である。しかしながら,アルコール濃度に影響する生前および死後の要因が多々あるので,判断はかならずしも容易ではない。本論文は,われわれの過去の研究成果をもとに,近年の剖検例について検討したものである。237剖検例のうちアルコールが検出されたのは102例であった。そのうち,アルコールが生前の飲酒に由来すると判断されたのが60例であった。31例は,生前の飲酒に由来するのではなく,すべて死後のアルコール産生によると判断された。その大多数は0,49%以下であったが,最高1.75%の例があった。このような例は,非飲酒者であるのに高度の酩酊者と誤られる危険性がある。11例は生前の飲酒に,死後産性アルコールが加わったと判断された。次に,6例を選び,各種試料のアルコール濃度の比較から,どのような情報をうることができるかについて述べた。
著者
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