<原著>階段昇降における歩行様式の違いが下肢生体内力に及ぼす影響

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本研究の目的は, 歩行様式が階段歩行中の下肢生体内力に及ぼす影響を明らかにすることにより, 階段昇降における安全管理面に関する基礎資料を得ることである.階段昇降中の運動学的データ, 力学的データそして筋電位データを計測した.実験条件は, 一足一段歩行・二足一段歩行(先導脚)二足一段歩行(後続脚)の3つであった.階段昇降中の関節モーメント, 筋張力, 関節間力を剛体リンクモデル・筋骨格モデルの二つの数学モデル(山崎(1992))を用いて推定した.結果として, 階段昇り歩行では, 二足一段歩行は先導脚の大腿四頭筋と後続脚の下腿三頭筋を主動筋とする歩行がなされていた.階段昇り歩行中の膝関節間力は, 二足一段歩行は一足一段歩行に対して, 先導脚の負担は高まるものの, 後続脚の負担を減少させる歩行様式であった.階段降り歩行中の筋張力は, 二足一段歩行の後続脚の大腿四頭筋および下腿三頭筋を優位に活動させることで, 先導脚の負担を軽減している歩行様式であった.階段降り歩行中の膝関節関節間力は, 二足一段歩行は一足一段歩行に対して後続脚の負担が高まるものの, それ以上に先導脚の負担を軽減できる歩行様式であった.以上のことから, 1)階段昇り歩行において, 大腿四頭筋および膝関節に障害がある場合は健側を二足一段歩行の先導脚, 患側を後続脚にして昇行することを勧める.また逆に下腿三頭筋に障害がある場合は, 健側を後続脚, 患側を先導脚にして昇行することを勧める.2)階段降り歩行において, 片側の脚に障害がある場合は, 健側を後続脚, 患側を先導脚として階段を降行することを勧める.
2000-06-26

<原著>階段昇降における歩行様式の違いが下肢生体内力に及ぼす影響

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