<論説>ハイブリッド=リーダーシップ測定尺度の構成とハイブリッド=リーダーシップが部下のモラールに及ぼす影響
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概要
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本研究の第1の目的は, Bass (1985)が開発した変革的リーダーシップ・交換的リーダーシップ測定尺度をもとに, 日本企業においてどのような因子が抽出され, どのような尺度構成ができるのかを検討することであった。第2の目的は, 抽出された因子間に因果モデルを構築し, その因果モデルがフォロアーのモラールにどのような影響をおよぼすのかを明らかにすることであった。対象者は, 千葉県・神奈川県内における企業3社の中間管理職の直属の部下1033名(有効回答者数)であった。得られた結果は次のとおりであった。1. ハイブリッド=リーダーシップ測定尺度の因子分析の結果, 因子I「カリスマ的リーダーシップ」・因子II「部下評価」・因子III「知的喚起・目標設定」・因子IV「保守的管理」・因子V「部下の自己犠牲的実力発揮行動」の5因子が抽出された。2. 因子毎の信頼性係数は十分高い値を示し, どの因子においても内的一貫性がみいだされた。ついでパス解析の結果以下のことが明らかになった。3. 部下のモラールの高さに対して, カリスマ的リーダーシップは, 直接的には影響せずに, 知的喚起・目標設定や部下評価というリーダーシップ行動あるいは部下の自己犠牲的実力発揮行動を通じて間接的に影響をおよぼす。4. 部下のモラールの高さに直接的に影響をおよぼす要因は, 第一に知的喚起・目標設定リーダーシップ行動であり, ついで部下の自己犠牲的実力発揮行動や保守的管理リーダーシップ行動である。5. 部下評価リーダーシップ行動は, 部下のモラールに影響をおよぼさない。6. 部下の自己犠牲的実力発揮行動に対しては, カリスマ的リーダーシップ要因が大きな直接的影響をおよぼしかつ間接的影響も合わせもつ。7. 部下の自己犠牲的実力発揮行動に対しては, 知的喚起・目標設定リーダーシップ行動と部下評価リーダーシップ行動が直接的影響をおよぼす。8. 部下評価に対しては, カリスマ的リーダーシップ要因は直接的影響と間接的影響をおよぼす。10. ストレス=モラールに対しては, カリスマ的リーダーシップ要因は直接的影響をおよぼす。11. ストレス=モラールに対しては, 保守的管理リーダーシップ行動は直接的影響をおよぼす。
- 1995-09-20
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