<論文>戸田城外著『推理式指導読方』解析
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概要
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本論では,昭和13年(1938年),日本小學館より改版発行された戸田城外著『推理式指導読方』巻十一六年前期用の研究をおこなう。本書は,教科書準拠版の小学6年生向け国語参考書である。にもかかわらず,その<項目秩序の体系性>,<解説の徹底した合理的明快さ>,<本文と項目相互の関連性>は大学受験参考書以上に秀逸していて,他に類を見ない。ゆえに「わかりづらい」「使い物にならない」等の国語参考書の壁を見事に打ち破っている。そのうえ本書は,単に<わかりやすさ>のみを優先させるにとどまらず,国語に科学的な<文章観>を導入している。これが,旧弊な教育の横行していた昭和初期に著された,ということ自体,一つの驚異といってよい。そこで,ここに本書28課中の初課である「吉野山」の解説に秘められた<解説の合理的明快さ>と<本文と項目相互の関連性>について論じてみたい。
- 2003-02-01