<資料>自閉症児のコミュニケーションについての一考察
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概要
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自閉症児は,人とのコミュニケーションをとることが苦手で,コミュニケーション障害であると言われる。しかし,一年間でも自閉症児とともに過ごし,各自の個性が明らかになると,彼らは言語表現こそ不得手であるが,動作などの非言語性のものを含めた意思の投げかけの頻度は,健常児とあまり差がないと感じる人は多く,実際にその通りである例は多い。一般的に自閉症児は器質的には発声・発語が可能とされている。個人差が大きいとはいえ,心の中に内在する言語をいかに発声させるか。この方法について保育・教育現場では様々な試行錯誤が繰り返され,個別もしくは集団によるアプローチが確立されてきた。過渡的な方法として絵カードなどの補助・代替的なコミュニケーションが用いられ,功を奏する例も増えている。今回は主に文部科学省の研究指定校で多くの自閉症児が在籍するA学園の指導事例を考察し,その指導段階を明確にしていく。ここでは,最初は彼らの発するコミュニケーション行動のすべてを受け入れ,徐々に個人能力に応じて,言語的なコミュニケーションに発展させていく。言語の顕著な発達は,自閉症児の生活全体を豊かにすることによって,さらに「言語を話すことが必要な環境設定」によって実現の可能性が増す。そして,周囲の大人がコミュニケーションマインドを持ち,きめ細かな反復性のある指導を行うことが重要である。
- 育英短期大学の論文
- 2002-02-01