ひきこもりへの心理療法過程の研究 : 主体性の獲得をめぐって
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概要
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ひきこもり患者に対して心理療法を施行した事例を呈示しその心理面接過程におけるセラピストークライエント関係の臨床心理学的検討を行った。事例は27歳男性, 初診時ひきこもり歴2年6ヶ月。心理療法は, 臨床心理士である筆者が担当し全31回(約2年Oケ月)に及び, 本人がコンビニのアルバイトを見つけた段階で終結に至った。心理面接過程を分析したところ, 治療関係における「関係性からのひきこもり」への対処が問題となり, クライエントに有する受動性の扱いをセラピストがどのように共感的態度で接していくかが問われた。また, クライエントの父子関係をめぐる支配の構図が明らかとなった過程で, セラピストヘの父親投影を過して, クライエントが面接を支配するという段階が認められた。さらに, それは主体性の獲得を意味しており, その結果, 父親支配からの卒業が企てられたものと考えられた。なお, その際に, 面接におけるセラピストの「被支配感覚」が意味ある指標となり得ることを論じた。
- 川村学園女子大学の論文
- 2003-03-15
著者
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