『愛人』の中の母と風景 : ヴィンロン,サデック,サイゴン
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概要
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現代フランス文学を代表する作家マルグリット・デュラスは, 1996年3月3日, パリ, サン・ブノワ通りの自宅で亡くなった。「18歳で私は年老いた」と述べたデュラスの作品のテーマは, そのほとんどが子供時代に起源を持つ。子供時代のデュラスにとって母親はかけがえのない存在であった。デュラスはインドシナの風景の中で育まれた体験を, 植民地の社会の犠牲となった母親を, 親切で信じやすかった母親を作家になって描いた。『太平洋の防波堤』Un barrange contre le Pacifique (1950)から始まる母親との葛藤は『愛人』L'Amant (1984)の中で終った。デュラスにとってインドシナは作品のすべてであった。1996年の夏に私はデュラスが子供時代と思春期の大部分を過ごしたヴィンロン, サデック, サイゴンを訪れた。これらの土地はデュラスの小説『愛人』の舞台である。そして『愛人』の中に描かれた母親と娘の葛藤の舞台となったインドシナの風景の中に伝記的事実を求めた。
- 川村学園女子大学の論文
- 1998-03-15
著者
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