知覚運動過程を重視した漢字書字指導方略のための調査研究
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概要
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漢字学習は文字学習であると共に語彙学習でもあり, 総合的な日本語能力に深く関わっている.一般的に日本語教育における漢字指導では, 読めること, 語として読めること, 文中で使えるようになることが中心となる.漢字を書く練習は学習者の個別的な活動に委ねられている.当然, 初めて漢字に接する者にとって, この書字学習はかなりの負担となりうる.文字を書く学習といえ, ば, 繰り返し何度も書いて練習する, ととらえられがちであるが, 実際に「書くこと」には知覚・弁別が含まれており, 単純に文字を再生する作業ではないということが心理学や生理学の発展と共に明らかになってきた.その結果, 書字研究の分野では「書字過程」すなさわち, 文字の知覚から実際に再生するまでの過程に焦点があてられるようになり, 知覚運動課題として文字を書くことの指導(以後「書字教授」と呼ぶ)を取り上げる研究(Furner)が出てきたのである.本稿はこの知覚運動過程を重視した書字教授のアプローチが漢字書字教授へ適用しうるか, その可能性を探るために行なった調査研究である.最終的には漢字書字プログラムの開発が目的であり, 今回はその予備段階として, プログラムの指導方略を求めた.
- 早稲田大学の論文
- 1993-03-25