「大学広告」におけるカタカナ表記語及びアルファベット表記語の使用状況 : 調査報告
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概要
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日本の国字問題に関する議論の歴史は長いが, 今新たな局面を迎えている観がある.カタカナ語の氾濫が問われて久しく, それに続いて今度は日本語文におけるアルファベットの使用率の増加が指摘されている.アルファベットにはローマ字も含まれ, すでに総ローマ字表記のファッション雑誌も出現している.また, コンピュータの普及に伴い, 電子通信が世界的に「必須」の存在になりつつあるなかで, インターネットで使う文字をめぐり日本語の表記の問題が再浮上している.こうした情勢の中で, 21世紀の日本語の表記の行方をさぐる基礎研究として, 本論は, 「日本経済新聞に一括掲載された148大学の広告にみられるカタカナ表記語及びアルファベット表記語の使用状況」について調査と分析を行ったものである.調査の結果, 紙面の制約から集約性の高さが求められる広告にも, 漢字と比べて集約性の劣るアルファベット表記語やカタカナ表記語が合わせて総語数の約1割も使われていることが分かった.また, カタカナ表記語が9割以上の広告で使用されているのに, アルファベット表記語ゼロ使用広告が過半数を超えており, アルファベット化の影響はくは記号や略語・大学案内書やイベントの名称として固有名詞的に使われたり, また難しい句や文には日本語訳がつけられ, 「雰囲気作りの小道具」あるいは, 「飾り効果」的な使い方がされている.
- 1998-03-31