和製英語による心理的干渉について : 日本の青少年に見られる和製英語によって生じる学習阻害
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概要
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和製英語という, 日本人がカタカナ音節表記を用いて綴ったり発音したりする語(句)は, ここ10年随分と増加した。その数の増加に加えて, その使われ方並びにその頻度が日本の学生が英語を学ぶ妨げになってきた。これは, 学生が「和製英語は英語であり, ネイティブスピーカーが話す英語も和製英語と全く同じものだ」と仮定し, ウルフが提唱した理論にも似た心理的干渉が働くためだと思われる。また, 学生は和製英語で使う規則はそのまま英語にも転用できるとも仮定する。1986年から1992年に及ぶ中学1年生から中学3年生を対象にした聞きとり調査によって, 多くの学生がカタカナとローマ字の違いを混同しているということが判明した。彼らは違いを説明するように求められると, ローマ字を英語であるとか, カタカナを英語であるとか, 両方とも英語であると答えたものが数多くいた。こういつたものが英語学習に与える影響は大きく, 聴解力, 話す力, 文法, 発音, 読解力, 綴り等の全ての分野に及ぶ。そして, 学生が英語学習の過程の中で自信を喪失するという問題をも引き起こすことになる。