古代ギリシア人の蜜蝋絵画
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概要
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ミイラ肖像画は1世紀前半から4世紀末にかけて帝政ローマ領時代のエジプトの都市のギリシア系市民の居住区で描かれたもので,古くからの伝統を受け継ぐギリシア人の画家たちの蜜蝋画である。その美術史的価値は約500枚の作品の370年にわたる様式変化の諸相が19世紀後半以後の近代絵画のそれに似ており,そのことを近代の油彩画に対応する古代絵画の技法であった蜜蝋絵具による作品で明瞭に示す貴重な遺品であるところにある。それゆえ,その点の解釈は近代絵画の様式論にとってもきわめて示唆的な意味をもつものと考えられる。拙稿は前半部をこの古代絵画にめぐる考古学的問題にあて,後半部をその様式の年代的変化についての比較様式論的考察にあてた。
- 宝塚造形芸術大学の論文
- 1988-06-25