ベトナム南部カンザー地区におけるマングローブ植林事業の展開と住民生活
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概要
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ベトナム南部のカンザー地区では,ベトナム戦争以後,政府主導により積極的なマングローブ植林事業が展開されてきた。本稿は,この植林事業の展開を踏まえた上で,植林プロジェクトが地元住民の生活にどのように関わってきたかを明らかにしようとしたものである。カンザー地区内のタムトンヒエップ村において21世帯を対象にして聞き取り調査を行った結果,住民の伝統的な生業は,マングローブ地域内でのカニや貝類の採取,および河川・水路での漁業が中心になっていることが明らかになった。すなわち,住民の生活は復元されたマングローブ生態系の豊かな恵みに大きく依存してきたといえる。そして1990年より,政府は一部の住民に林地を割り当て,マングローブ林の管理と植林・保育作業を委託する契約制度を開始した。対象となった請負世帯では,林業・漁業・養殖業の複合経営により,大きな収入増加が見られた。以上より,この植林事業は,マングローブ林の管理・保護および生産活動と住民の福祉増大を結合させたものとして,評価できる。
- 三重大学の論文
- 2002-03-25
著者
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