インスリン依存型糖尿病のScidマウスへの移入
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概要
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ヒト自己免疫疾患の病因研究のモデルとして, ヒトの病因免疫細胞により病態を再構築したキメラマウスが理想であると考えられる。本研究ではインスリン依存型糖尿病(IDDM) モデル動物であるDPBBラットを用いて,免疫不全マヴスであるScidマウスへのラット自己免疫性糖尿病の再現を試みた。Scidマウス腹腔内へ投与したDPBBラットの脾細胞は,腎皮膜下移植された同種ラットのラ島片に浸潤したが,宿主Scidマウス豚ラ島へは浸潤しなかった。ラ鳥片へ浸潤した細胞はおもにCD4T細胞. CD8T細胞. B細胞,及び少量のマクロファージであった。このような移植片へのDPBBラット免疫細胞による浸潤は,移植同種ラット脳下垂体には認められなかった。一方,糖尿病抵抗性であるDRBBラットの脾細胞移入にては.ラ島片に細胞浸潤を認めなかった。ストレプトゾトシン(STZ)処置により糖尿病を誘導したScidマウスヘ,ラット豚ラ島を移植し正常血糖へ戻した後,DPBB脾細胞を移入したところ,6匹中2匹に糖尿病の再発を認めた。以上より異種免疫細胞移入によりScidマウス内に臓器特異的かつ疾患依存性にラット自己免疫性糖尿病が再現できた。このモデルはヒト臓器特異的自己免疫疾患の病因解析にも適用できる可能性が示唆された。
- 神戸大学の論文