膵島におけるグルタミン酸脱炭素酵素(GAD)-rアミノ酪酸(GABA)系に関する研究 : 薬剤反応と生理学的意義
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概要
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中枢神経組織でのGABA合成および分解酵素阻害剤を用いてin vivoおよびin vitroにてラットの膵島内GABAの変化を脳組織でのこれら薬物に対する反応様式と比較検討するとともに,グルコースおよびアミノ酸刺激による膵島内GADの発現に関して検討した。In vivoにてGABA合成酵素阻害剤(3-mercaptopropionic acid,3-MP)投与によりラット視床下部,海馬および線条体でのGABA濃度は20-30%,膵島で35%それぞれ有意に低下し,脳組織および膵島においてGAD_<67>およびGAD_<65>の発現はwestern blot解析により低下した。一方, GABA分解酵素阻害剤(sodium varproate,VPA)投与にて視床下部,海馬および線条体でのGABA濃度は30-80%,膵島で85%それぞれ有意に増加した。またin vitro にて膵島を3-MPあるいはVPAで刺激すると,それぞれの濃度に依存して膵島GABA濃度は3-MP刺激では減少し, VPA刺激では増加した。すなわち膵島のin vivoおよびin vitroにおけるGABA合成および分解酵素阻害剤に対する反応様式は,脳組織での反応様式と相向性を認めると考えられた。つぎにin vitroにおける膵島のインキュベーション実験では,インスリン合成には影響を及ぼさずに分泌のみを刺激するarginineはGAD_<67>およびGAD_<65>の発現を変化させなかったが,インスリン合成のみならず分泌をも刺激する高濃度のglucoseはGAD_<65>の発現を濃度および時間依存性に増加させた。これらの結果より勝島に存在するGAD-GABA系の限害剤に対する反応様式は脳組織と相向性をもち,膵島ではインスリン合成の役割に関与することが示唆された。
- 神戸大学の論文