ラット腸型ホスホジェステラーゼI/タクレオチドピホスファーゼ遺伝子(PD-IB)のクローニング
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概要
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ホスホジエステラーゼI/ヌクレオチドピロホスファターゼは,生体内に広く分布する膜型酵素で,その細胞外領域はピロリン酸,リン酸ジエステル,燐酸硫酸エステル結合を加水分解する。クロマトグラフ法を用いた研究より,この酵素には少なくとも5種類のアイソザイムが存在することが明らかになっている。ヒトおよびマウス形質細胞の膜表面蛋白質であるPC-1はこのクラスの酵素に属する分子として最初にクローニングされた。PC-1は,インスリンレセプターの自己燐酸化を阻害し,インスリン非依存性糖尿病患者の線維芽細胞において発現が増加していることが報告されている。我々は,以前に脳型の本酵素をクローニングしPD-Iαと命名した。後に,PD-Iαは腫瘍細胞走化性因子であるオートタキシンと同一である事が判明した。今回,ラット小腸のcDNAタイプラリーより腸型の本酵素をクローニングしPD-Iβ と命名した。クローニングしたPD-IβcDNAは全長2,744塩基で,876アミノ酸をコードしていた。推定分子量は99,322であった。PD-Iβは細胞膜貫通領域を1箇所,酵素活性部位,ソマトメジンB領域,RGDペプチド配列,カルシウム結合部位であるEFペプチド配列を有していた。PD-Iβについて,さらに詳細な解析が行われることによりホスホジエステラーゼI/ヌクレオチドピロホスファターゼの生体内での役割が明らかになるものと期待される。
- 神戸大学の論文