消火性潰瘍再発におけるHelicobacter pyloriの意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
消化性潰瘍再発におけるHelicobacter pylori(HP)の意義を知るため,HP陽性易再発性消化性潰瘍64例(胃潰瘍32例,十二指腸潰瘍32例)を対象として, H_2拮抗剤による治療にて瘢痕治癒後維持療法中に,患者の同意のうえ, HP除菌治療を行ない,その後の長期にわたるHPの消長と潰療再発を検討した。さらに除菌前後での胃前庭部粘膜の炎症細胞浸潤と胃液中のアンモニア濃度の変化を検討した。HP除菌には,次硝酸ビスマス,アンピシリンそれぞれの単独療法より,それらにメトロニダゾールを加えた三者併用療法が有意に有効であった。治療後の潰瘍再発を,除菌に成功した除菌群,一旦陰性化後再陽性化した制菌群,全く陰性化しなかった陽性群の3群間で比較検討したところ,制菌群では当初1年間のみ潰瘍再発は抑制されたが,除菌群では胃潰瘍・十二指腸潰瘍両者において長期にわたり有意に抑制された。また除菌後は有意に胃液中アンモニア濃度が低値となり,胃前庭部粘膜の炎症細胞浸潤が軽減していた。以上の結果より,HPの消長と潰瘍再発とは密接に関連しており,HPがアンモニアを介して胃粘膜に障害を与え,胃潰瘍再発に強く関与していると考えられ, HPの除菌療法により再発を防止することにより消化性潰瘍を完全治癒できる可能性が示唆された。
著者
関連論文
- 消火性潰瘍再発におけるHelicobacter pyloriの意義
- A case of leukopenic hairy cell leukemia.
- Effect of synthetic prostaglandin E1 analogue on gastric emptying of solid meal in man.
- HLA-DR2 DNA typing in Japanese ulcerative colitis.