TenilseTamのMaillard反応に及ぼす効果に関する研究
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概要
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糖尿病性合併症の成因および老化過程において蛋白質の糖化反応(Maillard反応)は重要な役割を担っている。Maillard反応の抑制に関してはamlnoguanidineが抑制剤として確立されているが,その他の抑制剤は十分には検討されていない。我々は抗痴呆薬であるtenilsetam[(±)-3-(2-thieny1)-2-piperazinone]のMaillard反応に及ぼす抑制効果について検討した。tenilsetamは,in vitroにおいてlysozymeのglucose及びfructoseによる重合化を濃度依存性に抑制した。また,コラーゲンを還元糖とincubationするとコラーゲンのdigestibilityは低下したがtenilsetam添加によって回復した。次にSTZ誘発糖尿病ラットを用いてtenilsetamのin vivoにおけるMaillard反応抑制効果を検討した。16週後において腎皮質を摘出して,コラゲナーゼ処理にて可溶化して蛍光強度及びpyrralineを測定した。腎皮質の蛍光強度は,糖尿病群で増加したが,tenilsetam投与により有意に減少した。また糖尿病組織において特異的に増加していることが報告されているadvancedglycation end products (AGEs) の一つであるpyrralineに関しでも同様の結果が得られた。以上よりin vitro及びin vivoにおけるtenilsetamのMaillard反応抑制効果が示され,将来の糖尿病性合併症の予防及び治療に有用であることが示唆された。