C末端部除去変異体を用いたGLUTI蛋白の構造機能に関する研究
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概要
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我々は,糖輸送において糖輸送担体(GLUT) のC末端部分が,その構造と機能の維持に,どのような役割を担っているかについて研究した。赤血球/HepG2型GLUT(GLUT1)遺伝子を用いてsitedirected mutagenesisの手法により,GLUT1のC末端部分より各々,24〜27個のアミノ酸を除去した4種類のdeletion mutant (CTD24〜27)を作成し,これらを, Chinese hamster ovary (CHO)細胞に過剰発現させ野生型GLUT1と同等の発現レベルを有する細胞株をWestern blottingにより選択し,その機能について解析した。その結果,糖輸送に関してはCTD24株では野生株と同等の活性を示しCTD25株,CTD26株では,それぞれ野生株の55.3%,36.3%でありCTD27株では, CHO-KI株と,ほぽ同等の活性しか認めなかった。またGLUTを細胞外から標識するATB-BMPA標識ではCTD24株で,野生株に比して67.5%の活性を認めた以外は, CTD25〜27株で,各々12.5%,6.4%, 3.8%と著減していた。またGLUT1を細胞内より標識するサイトカラシンB標識では全ての変異体が野生株と同等の値を示した。以上のことよりGLUT1のC末端部分から徐々にアミノ殻を除去していく際に,25個以上のアミノ酸を除去した場合にはGLUT1が内向き構造に固定され,その結果GLUT1の糖輸送能が失われてしまうものと考えられた。