<人文学報>ヘルマン・カーザックとヴェルナー・ベルゲングリューンに就いて (1) : カーザックの「流れの背後の街」
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概要
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ファシズムの暴威は人間の存在を非現實的にし權力の絲に操られる人形と化した。敗戰に依つて暴力と恣意の桎梏から解放されたドイツのインテリゲンチアは暗黒の中に閉ざされてゐた過去を批判し,新なる生を求め,人間の真實の存在に就いて苦悶の中に省察し出した。戰後の獨逸文学も亦切實な問題としてこの點を採り上げてゐるやうに思はれる。中でもカーザックとベルゲングリューンは暴壓にうちひしがれた人間存在を凝視し近代ヨーロッパ文化の様相を解剖し,其處から獨逸的文化の特徴的現象の批判を引き出し普遍的,根源的な解明を展開する。カーザックは東洋に眼を向け知性化し過ぎたヨーロッパ文化を東方の精神に依つて救はんとし,ベルゲングリューンはカトリシズムの立場から神の恩寵と人間の諦念に依つて生の不安を克服せんとする思想に文学的形象を與へてゐる。
- 京都府立大学の論文
- 1952-02-20
京都府立大学 | 論文
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