精神遅滞者の余暇の実態とよりよいあり方について
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概要
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近年,障害者の余暇活動やレクリエーションが見直されてきているが,精神遅滞者の余暇やレクリエーションについては,旭川市のボランティア団体や障害者・福祉団体の活動状況からみて,現状は十分でなく,消極的なものとなっている。本研究は,精神遅滞者を通して,余暇をめぐる諸問題を明らかにするため,「精神薄弱者通所施設」に通う者と就労している者それぞれの親に対して,余暇の実態と意識に関する調査を行い,また「精神薄弱者通所施設」に通う者に対しては,面接調査も行った。その結果,全般的に余暇活動への関心の度合いが低いことが明らかになり,また,障害程度が重度の者の方が適切な余暇活動を行っていることも明らかになった。親のニーズとしては,友だちに関することが最も多く,「友だちをつくってほしい」,「友だちと遊んでほしい」が要望として述べられ,そのための施設やサークルなどの社会的体制づくりを望むものが多かった。以上のことから,家の中でひとりの余暇,あるいは家の中で家族の者だけとの余暇から,外へ出ての友人との余暇を目ざしつつ,一人ひとりが自己実現しうる大きな体制づくりへの余暇対策が今後の課題となる。
- 北海道教育大学の論文
- 1990-03-12