特殊学級設置校における養護教諭の役割と機能 : 北海道におけるアンケート調査から
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概要
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「養護教諭は,学校内で児童生徒の健康を専門的にあつかう教師であり,養護の専門職として学校保健に関し,リーダーシップをとっていかなければならない」。^<1)>この考えにたつとき,養護教諭は障害児教育においても重要な役割を担う。障害をもつ児童生徒の個性を大切にした個別指導に加え,学校環境の整備や障害児教育をすすめるにあたっての学校組織づくりの中心としての役割が期待される。そこで,全道の特殊学級設置校(小・中学校)を対象として,今年度1年間(平成元年4月〜10月)の活動についてアンケート調査を行い,その結果をもとに研究をすすめ,養護教諭と特殊学級の児童生徒とのかかわりについてあるべき姿を考えようと取り組んだ。その結果,(1)児童生徒の障害が「重い」と感じている特殊学級設置校の養護教諭ほど,対象児への指導やまわりへの働きかけの方法などに問題意識をもっている。(2)特殊学級の児童生徒の保健室への来訪は少ないため,養護教諭は積極的にかかわりの場を設けることが必要である。(3)性に関する指導,保健指導については,学校全体として取り組み,実態にそくした指導が今後の課題である。(4)赴任する以前に障害児あるいは障害者とのかかわりをもち,障害児教育観をもつことは,指導への積極性を養う。(5)養護教諭は,教職員,保護者,地域との連携の大切さを強く感じ,働きかけているが,まだ十分ではない。(6)期待されている力量はカウンセリング・健康相談活動を十分に行うための力である。(7)現状では,養護教諭は時間的ゆとりがなく,そのため,早急な改善が望まれているなどがあきらかになった。今後は,性に関する指導の困難点や,学級担任との連携の具体的なあり方など,焦点をしぼって現状をあきらかにすることが望まれる。また,通級制の特殊学級の児童生徒と養護教諭とのかかわりについての検討も必要であろう。
- 1990-03-12