自閉症児A児の情緒障害学級教育課程 : 情緒障害学級に在籍し精神薄弱学級で指導を受けている場合
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概要
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自閉症児A児は,情緒障害学級に籍をおいているが精薄学級が主な指導の場となっている。集団行動がとれず,精神薄弱特殊学級での活動に適応出来ない場面が多く見受けられた。通級による情緒学級の指導は,今後も週数回の単位で続くだろう。本論では,現状の体制の中で,より教育効果を上げるため,子供の実態からつけたい力を選び出し,学級の現状を踏まえて,情緒学級での年間指導計画の作成を試みる。一日の指導課程の中に,生活単元関連学習を位置付けた。これは指導目的の中心を「精薄学級での適応力の向上」とし,精薄学級学習との関連を重視したからである。また発達の歪みの大きな原因の一つを「言語認知力の未発達」とおさえ,その改善のために日記指導と劇表現活動の場面を設定した。具体的年間指導計画を,生活単元学習と劇表現活動について作成した。養護・訓練の中から取りあげた運動課題は,主な指導内容を提示した。評価は形成的評価を重視し,授業の中で自己評価と相互評価により,児童自らの学習目標設定のため工夫すべきものと考えた。児童にとって学校生活で主となる場,精薄学級での適応状態が最も大切である。今後に残された問題として,情緒障害児の指導形態がどうあるべきか,制度や就学指導のあり方も含めて考えていかなくてはならない。
- 北海道教育大学の論文
- 1990-03-12