自閉的傾向をもつ幼児の手の動きに関する一考察
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概要
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手は,日常生活のなかで重要な役割を果たしている。同時に手の動きは多様な意味を表現し,子どもの発達段階や意志や気持ちを私たちに理解させてくれる。したがって,手の動きを細かく観察することにより,子どもを理解し,指導するひとつの手がかりが得られると思われる。筆者は,自閉的傾向をもつ幼児とかかわりながら,手の動きを観察し,(1)操作の手,(2)要求の手,(3)模倣の手,(4)つなぐ手,(5)感覚遊びの手,の5つの観点から分析した。8ヵ月間にわたる観察の結果,(1)人との関係行動の中で手が使われ始めたこと,(2)物の操作が多面的になったこと,(3)指さしがでてきたこと,(4)親指と人さし指が中心に使われていること,(5)奇妙な指づかいがみられること,などが認められ,指導上の手がかりがいくつか得られた。
- 1990-03-12