<事例研究>西村久蔵とキリスト村建設
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概要
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西村久蔵(1898年-1953年)は,北海道小樽に生まれる。久蔵か生きつづけた時代は,まさしく戦前と戦後の動乱時期でもあった。その中にあって久蔵は熱心な伝道者であり,教育者であり,洋菓子のニシムラ食品工業株式会社の創立者でもあった。この多方面にわたる経歴から,多くの人々に献身的な感化と影響を与えている。久蔵を慕う人々は,慈愛の人,寛容の人,受容の人として敬愛している。しかしながら久蔵は,クリスチャンであり戦争に参加したという罪の贖いから,戦後まもなく江別の地に相互扶助を目的としたキリスト村建設に生涯をかけたが,志半ばにして倒れ,その実現を見るに至らなかったのである。教育者として,人間として一番の根本問題を提唱しつづけた西村久蔵の生き方に学びながら,キリスト村建設とは,一体何か,についてふれるとともに,その建設が,貧困者,病を得た人々,等々の人間の生活に根ざした共に生きる場としての,福祉・教育構想であると,とらえてみた。
- 1989-03-11