ある自閉症児の14年間の生活記録
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概要
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自閉症の原因論について当初日本では,「心因論」が主流を占めていたため,医者から「自閉症」と診断を受け,脳には異常がないということで非常に喜んだ親もいたと聞く。逆に養育態度が問題視され親が自信を無くし落ち込んでしまったケースもある。その後,「器質論」に変わりさらに「器質論+心因論」へと目まぐるしい変遷があった。このことは,その後の治療法にも大きな混乱を生むことになっただろうし,ひいてはそれが自閉症児を抱える親自身の養育に対する混乱へとなっていったように思う。本論は,この激動期とも言える時期に直面した自閉症児である我が子との14年間にわたる経験について,次の4つの観点から論述したものである。(1)診断とアドバイスによる親の動き。(2)幼児期の状況。(3)学校教育での在り方。(4)生活体験のなかで感じたことを通しての問題提起。最後に,自閉症児を取り巻く問題点について全般的に整理し述べてみたが,これが今後同じ障害を持つ子を抱える親,またはそれを担当する教師にとってのなにかの示唆になればと願っているものである。
- 北海道教育大学の論文
- 1988-03-15