旭川太陽保育園の障害児保育 : 統合保育の実践的意味を求めて
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概要
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統合保育とは,心身に障害をもつ幼児を健常な一般の幼児と一緒に保育することをいう。しかし,障害児保育の歴史はまだ浅く,統合保育の望ましい在り方については解明されていない点が多い。そのため,現在,実践している幼稚園・保育所の努力ははかりしれないものがある。この研究で取り上げた旭川太陽保育園もその一例であり,独自の歴史をもち独自の方法で保育実践をしている保育園である。この研究は,旭川太陽保育園をフィールドとして,障害児と健常児が共に育ち合うという統合保育の実践的意味を明らかにすることを目的として行われた。研究の視点として,(1)統合保育の歴史(2)子どもたちの統合(3)園全体の統合(4)今後の課題,の4点をあげ,研究方法として,保育現場の参加観察,園長と主任への面接,資料分析の3つを用いた。その結果,障害児と健常児の相互の関係が発展的変容をもたらしていること,両者を結びつける保母の役割が大きく,これが子どもたちの統合の要ともいえることが明らかになった。また,子どもの生活を保障する職員,親,地域のつながり,すなわち園全体の統合の重要性も強調された。さらに幾つかの問題点が提示され,統合保育の実践の難しさ,奥の深さが浮き彫りになった。したがって,統合保育は,中核にいる子どもだちと周りの者全体が共に育ち合い,高め合っていくところの動きつつある大きな系であると考える。
- 1988-03-15