障害児教育における教具に関する研究 : 認知に関する教具分類のための一試案
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概要
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心身に障害をもつ子どもの指導には,幅広い角度から子どもにより適した課題や教具が選択されなければならない。しかし,それらに関する総合的な検討は,まだ十分なされていない。そこで,「発達水準」「発達課題」と関運させながら「教具」を整理しようと試みた。まず,子どもの発達をとらえるために,「基本的生活習慣」「社会的行動」「運動」「言語」「認知」の発達傾向表を作成し,今回はそこから「認知」領域をとりあげて,「感覚と運動の統合」という視点から発達の質的なレベルをとらえ,それを6水準に区分してみた。つぎに,各水準における主な発達課題を整理するとともに,それに基づいた教具を対応させて,この領域における教具分類のための手順を試みた。そのため,まず市販教具約470点について整理をおこない,今後必要とされる分類のための基礎的作業をおこなった。このことから,感覚と運動の統合がすすんでいる子どもに適する教具が多く,また,どのレベルの子どもにも適するといった複数の役割をもったものは少ないという傾向がみられた。さらに今後,こうした事例や実践をとおしながら「発達水準」「発達課題」「教具」のそれぞれについて具体的な対応関係をつかみ,構造をとらえるとともに,一人ひとりの子どもに適合した実践といった創造的な営みから,子どもの発達が教具をとおしてどのように促され,いかに変容していくのかについて検証していかなければならない。
- 北海道教育大学の論文
- 1987-03-15
著者
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木下 裕美
北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程:小樽市立北山中学校
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諸岡 裕記
北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程
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木村 美香
北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程
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諸岡 裕記
北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程:旭川市立大有小学校