重度の運動機能障害をもつ脳性まひ児のコミュニケーション能力獲得の一事例 : マイコンを用いたコミュニケーション機器の導入の試み
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概要
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重度の運動障害ならびに言語障害をもつ脳性まひ児においては,自らの意思表出が困難なため,意思の伝達,学習活動等について支障をきたしている場合が多い。そのハンディキャップ克服の方法の一つにパソコンやワープロを表出手段として使用され,その有効性が報告されている。本研究ではコミュニケーション機器を用いることによる有意な発声言語を持たない対象児の意思表出能力の獲得を目的とし,教育実践での活用をめざした。最初に,機器を随意的に操作しうる対象児の可動部位の検討,センサーの工夫を行い,その結果,操作部位を手から足,音声,皮膚接触へと筋緊張を極力軽減した人力方法を用いることにより,自らの意思を文字によって表出することが可能となった。この方法により対象児の潜在能力を引き出すことができ,表出言語は単語レベルから文レベルの表現へと急成長をとげ,コミュニケーションの姿勢も能動的なものへと変っていった。さらには,単に交信活動の拡大のみならず,学習意欲,学習効果の促進につながり,教具としての使用する可能性も増し,教育面の活用においてもその期待は大きいものとなった。
- 1987-03-15