民間病院の小児病棟より発展した障害児保育への道
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
障害児保育を保育における一つの特異な活動として取り上げられる時代は終わったのではなかろうか。今や保育を考える上で最も問題になるのは,障害児をどう保育していくかということではなく,障害児を含めて乳幼児期の子供とは何か,そしてそれらの子供を対象とした保育とは何か,という原点にもどった児童観,保育観の見直し,とらえ直しが私達保育者,ひいては大人に課せられていることである。しかし,このことは保育という場の中で,保育者に「障害児」と意識させる子供が入ってきて,その障害児を巡り,大きくそれ以外の子供達が作る保育というものとの一体化を目ざしてくり拡げてきた試行錯誤の歴史の中から生まれてきたことはいうに及ばない。昭和50年4月開設した「つばさ保育所」「帯広児童養育センター」は現在11年目。このレポートは,その内の1年目と,さらに,この両施設の成り立ちに要した昭和45年からの5年間を中心に述べたものである。保育には「絶対にこれしかない」というものはない。それは子供というものが誰一人として同じでないからである。だが,子供のその時々の理解の仕方を保育者が勝手にしてもよいわけではない。又そこの中から保育というものの思想,哲学も出てこよう。このレポートは,そんなことの「たたき台」にでもなってくれたらと願っているものである。
- 1986-03-15