鷹栖養護学校における基本的生活習慣変容の実態
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概要
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本研究は,鷹栖養護学校における児童・生徒の「食事」「排泄」「着脱」についての変容を5年間にわたり縦断的に追跡したものである。対象児童・生徒は昭和54年に本校が開校した時に在籍していたものおよびその後,新1年生に入学してきたものであり,その数は男子156名,女子70名,計226名である(途中入学者,および訪問教育から在校に措置変更になったものは含めない)。その結果,養護学校義務化の年およびその翌年くらいまでは,基本的生活習慣に全面介助を要するものが多く,次第に減少しつつあるようであり,また義務化の年の小学部1年生以外の学年(途中で養護学校の教育を受けることになったもの)と現在,養護学校の教育を受けてきたものとを比べてみると,前者の方が介助のしめる割合が大きい。これら介助を要するものも養護学校の教育を受ける事により,重度精神遅滞児を除くと,1〜2年で,自立に向うようである。「食事」「排泄」「着脱」の三分野の中では,「食事」が一番改善されやすい。これらの結果を総合的に考察してみると,基本的生活習慣の向上に養護学校の教育が寄与している事,養護学校義務制度が障害児を持つ親に浸透しつつある事などがうかがえる。
- 1985-03-15