「知」と「情」に関する一考察 : ソクラテスの「知」に学ぶながら
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概要
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現代の教育において,人間の心・感情を見て行くことは,大切なことであると考える。ことに情裾に障害をもつ子どもにとって,このことは,決定的な意味をもつと思われる。本稿は,プラトンの対話篇に基づき,ギリシアの哲学者ソクラテスの唱えていた「知」というものを明らかにすることにより,そこに含まれる「情」の教育の重要さと,その認識を論じている。ソクラテスが批判したソフィストの「知識」へのこだわりは,現在の学校教育の「知育偏重」の風潮と同じものであると考えられる。そこで肥大・増大化した知識は,情緒の不安定へとつながっている。このことから,ソクラテスの唱えた真の「知」を追及した結果,魂の3つの部分の調和という概念から,新しい調和論を提示した。つまり「知」と「情」は,表裏一体をなすものであるということ,そして,この二つは,お互いに援助し合うことで調和の状態に向かってゆくことを,現代の教育の課題とからめて考察した。
- 北海道教育大学の論文
- 1993-03-17