小規模地域における障害児教育の現状と展望 : 北海道宗谷管内中頓別町を例として
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概要
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今日,人口小規模地域でも次々と特殊学級が設置され,また障害を持つ乳幼児に対する早期対応も急速に巡歴し障害児に対する専門教育の重要性が高まってきている。しかし,医療機関,専門機関が近隣に無く,また専門的知識,経験を有する者がおらず,担当者は常に不安を抱えながら指導にあたるなど,個々の障害に応じた教育が適切になされるためには不十分な体制にあると言わざるをえない。また特殊学級が少人数のため,学級独自で集団活動を組織しにくく,対人関係が広がらないという問題も指摘される。そこで中頓別町を対象に,小規模地域における障害児教育の現状と課題を明らかにし,小規模地域なるがゆえの利点とこれからの方向性を見いだすべく,障害児教育関係者,保健・福祉関係者に面接調査と関係資料の収集を行った。その結果,専門家がいないため相談する場所がなく,多くの悩みを抱えつつ指導しているということが明らかになった。その克服のためには障害を持つ子どもの療育,教育に携わるすべての関係者が集まり,将来の見通しを持ちながら,指導内容を段階的に積み上げ一貫した指導を行う,あるいは相談できる体制をどうつくりあげるかにかかってくる。このようなマンパワーの充実こそが小規模地域での可能性を切り開く道となり,そのためには,その中心となるキーパーソンの役割が重要となり,教員,保健婦等がどう果たしていくかが大切になってくる。
- 1993-03-17