統合保育における保育者の役割 : 媒介機能を中心に
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概要
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統合保育において,障害児・健常児双方への良い効果が実証されてきているが,同時に幾つかのマイナス面もあげられている。この問題を解決するためには,障害児をまじえた保育の内容と方法を吟味していく必要がある。そこで本研究は,統合保育における保育者の"媒介者"としての機能に焦点をあて,保育者がどんな媒介をしているのかを明らかにし,その面から保育の質の向上には何が必要であるかを考えていくことを目的に,参観,面接を実施した。その結果,保育者の"媒介者"としての機能には,(1)母子間の媒介,(2)障害児・健常児間の相互関係の媒介,(3)集団過程の媒介の3つの要素があった。この3つの役割を果たす前提条件として,児と保育者との信頼関係と児と"もの"との関係に成立があり,これらの関係をもとに健常児との関わりが成立し,拡大されていく。障害児と健常児の関係の成立の仕方は,保育者の媒介の仕方によって違いがあり,それは,保育者の思想(理念)と技術の両方による。障害児と健常児が共に育つための効果的な媒介をするには,高度な保育技術を必要とするが,最も大切なことは,保育者の保育理念と障害児観であると思われる。
- 1992-03-31