地域早期療育システムの研究 : 北海道上富良野町のこころみ
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概要
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近年,わが国で心身障害児の早期発見,早期療育の意義と効果が広く認識され,療育の試みが各地でなされてきている。しかし,早期療育のもつ地域性,総合性,一貫性を確保していくためには,各地域における地道で慎重な努力の積み重ねが必要である。そこで,筆者は北海道の町村部に位置する上富良野町において障害を持った乳幼児が地域でどのように発見され,どのような相談・療育の援助を受け,どこにつながっていくのか,その現状と課題をあきらかにすることを目的に,関係機関の参観,面接を通じて検討した。上富良野町においては,保健婦の働きで療育の基礎作りがされているが,療育を充実させていくには,まだまだ多くの課題がある。それらは,(1)各健診・各相談のあり方,(2)療育の場としてのひよこ学級をどのように充実し地域に定義させていくか,(3)関係諸機関の連携等であった。 早期療育の主要な目的に,親が子どもの障害を受容し安心して地域で子育てができるように,家庭への援助と地域住民の意義の改革も重要であり,この地域ではそのための努力も認められる。このような上富良野町の試みが,広域過疎性をもつ北海道内外の各地に拡大していくことを願う。
- 北海道教育大学の論文
- 1992-03-31