重症心身障害児・者施設における行動療法的取り組み : その適用適用可能性と問題点
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概要
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重症心身障害児・者の措置されている施設の特異性,障害の重症度及び重複性は,彼らに対する教育方法の発展を阻む要因であった可能性が高い。彼らに対する取り組みの方向性を探る上では,彼らに対する教育・心理臨床の技法の有効性,問題点を明らかにしていく作業が不可欠であるにも関わらずこれまでその様な試みは盛んであったとは言い難い状況であった。そこで本研究では,近年障害児教育の分野でその有効性が評価されている行動療法的アプローチを重症心身障害児・者施設に措置されている者2名(男女各1名)に対して試み,その適用可能性と問題点を検討した。取り組みの過程で2名の標的行動はいずれも社会的強化によって維持されていることが明らかになり,行動療法の適応可能性が示された。しかし,行動療法の重症心身障害児・者への実施の問題点として強化子選定の際にかなりの時間と労力が必要であること,運動障害からくるオペラントレベルの低さに対処する方法論が必要でありその中で動作訓練は,有望な技法であることが示唆された。しかしながら,動作不自由に対する取り組みの際常に骨折等の事故が起こらないようにするためには,訓練者の熟練度及び細心の注意と医療側のスタッフとの意志疎通が重要であることが訓練実施の過程での考察から明らかになった。
- 1992-03-31
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