自閉症傾向を持つS・K君の成長記録 : 日記の分析を通して
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概要
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本論は,自閉症と診断された青年が,小学校3年生(8歳)から22歳まで書き綴った日記について文章の量的分析,および用いられている語彙と情緒的表現の分析を行ったものである。字数量をみると,平日の文字数は4月下旬の5日間の平均で,休日は4月下旬の一日分の日記の文字数であるが,年による変動はあるものの,年とともに増加している。小学校5年生の時に突出した字数を示しているが,新しい担任にS君を分かってもらおうと両親が熱心に日記指導をしたことによる。以後,中学卒業まではゆるやかに減少している。義務教育終了後はA学園に15歳で入所するが15歳当時に比べ22歳では3倍から4倍の字数の増加を示している。語の用法の変化を見ると,動詞,形容することぱが,3倍から3.3倍の増加を示している。施設入所後も書き統けた日記の中で語彙の変化を見ると,情緒的なことばの増加がみられる。日記を見るかぎり,施設入所後も言葉の使用上着実に成長していることが明らかになった。
- 北海道教育大学の論文
- 1992-03-31