農村集落の構造と機能
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概要
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農村集落は,農村において一定のまとまりをもった空間としての地域であり,この一定空間に居住している人々がお互いに社会・経済的関係を結んでいる社会単位である。この社会単位としての集落は,集落構成員が生産と生活の両面から生じる利害の共通性と集落という共同生活圏における地縁性とを基盤にして結合している利害共同社会集団であるということができる。この利害共同社会集団の機能は,集落構成員が特定の目標に対して意思を共有することと統合・調整することにある。この集落構成員の意思を統合したり,調整する機能を集落の対内統合・調整機能と呼ぶならば,この機能の発揮に際して重要な役割を果す社会集団として,組と農事実行組合と呼ばれる集団をあげることができる。この二つの集団が集落構成員の意思を統合したり,調整する主体になりうるのは,二つの集団構成員が等質的な性格をもった農家であり,しかも極めて強い重層的関係にあることによる。しかし,二つの集団構成員の等質性と重層的関係は,集落の混住化の程度によって変化する。その変化とは,混住化の進行にともなって二つの集団構成員の等質性と重層的関係に分化がみられることによる。こうした分化は,それまで集落構成員の意思を統合したり,調整しなりしてきた機能主体が分化することを意味する。この結果,それまで一致をみてきた集落の利害と農家の利害との分離がみられるようになる。かくして,混住化の進行にともなって,集落の利害は農家と非農家の連合集団が生活の利害を共通にする集団として,農家の利害は生産者集団が農家の経済的或いは生産的利害を共通にする集団として,各々の構成員の意思を統合したり調整する主体となる。
- 神戸大学の論文
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