グローバル・コミュニケーション-神戸女学院大学が平和学を開講
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概要
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私は,十年前,神戸女学院から一年間のサバティカル(研究休暇)を取り,世界第一の平和学の研究機関を誇るブラッドフォード大学大学院で博士課程に参加しました。当時,神戸女学院では,私のこの研究計画は,「平和学ってなんなの?」「なぜ平和学を研究することが英語を教えることと関係があるの?」と議論を呼び,何人かの同僚教官たちからは反対までされました。確かに,平和学研究は議論の的になってきましたし,誤解されてきました。しかし,この新しい分野「平和学」は,言語教育関係者にとっては,外国語と異文化を学生に教える上で,人間性・人間愛の正当性の探求,また言語教育研究の明確で実用的な応用となると考えられてきました。それでは,言語教育がどのように争いを回避し,明確な正しい社会改革を実行するのに役立つのでしょうか?平和学研究と言語教育の接点は,例えば,友好的な人間関係を促進する上でのコミュニケーションの役割ということを考えれば明らかになると思います。10年前,神戸女学院では「革新」への差し迫った必要性ということが認識され,それ以降,いかに我々の教育を現代社会に適用させるかという点で多くの創造的な議論と努力がなされてきました。外国人教官も神戸女学院でのこの「現代化」に尽力し,2001年4月には英文学科でグローバル・コミュニケーション(GC)という新しいプログラムを開始しました。GCプログラムのビジョンは,英語の能力の向上を図りながら,学生が現在関心を持ちさらに将来に必要になるであろう社会問題等を,英語を通してインターアクティブ・ティーチングで教育することを目指します。しかし,現在,GCに対する学生からの圧倒的な要求があるのにもかかわらず(表1をご覧ください),神戸女学院でGCは10年前の平和学と同じような運命をたどり,その正当性が議論の的になっているように思われます。GCを開始した昨年度,平和学は,英文科専攻一年生は必須のグローバル・コミュニケーション入門E105というクラスの中の一つのトピックとして開講されました。平和学が学究的専門分野として,平和学と英語教育の関連性,また,平和学のE105という入門クラスヘの導入において,なかなか消え去ることのない「誤解」を少しでも取り除くことができればと考えています。GCの民主主義と透明性の精神において,まだ巣立ちしたばかりのGCという新しいプログラムを成功に導くために必要な支援をより一層広げるため,皆様のGCプログラムに参加・貢献をお願いしたいと希望します。