国際教育と多文化教育の相互協力への可能性-共有するキーコンセプトに関する一考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
今日の教育者にとって,国際教育と多文化教育という二つの教育分野における研究や学習の取り組みの間に存在する隔たり(ギャップ)を埋めることは必要不可欠な課題のひとつである。この二つの教育分野は相互に密接に関連し合っているにも関わらず,一方ではまったく異なった達成目標を持っていると考えられがちである。国際教育と多文化教育はそれぞれ独自の理論と実践からなる部分も確かに多いが,その共有する価値観の重要性にこそ着目していかなければこれからの社会に有効な教育観を見出すことはできないだろう。異文化の共生する社会の中で人々の相互理解を深めることに寄与する教育を考える上で,これまで実践されてきた国際教育と多文化教育という二つの教育分野が担う新たな役割を模索する手掛かりとして,いくつかのキーコンセプトを取り上げ考察する。また,それらのキーコンセプトをふまえ,アメリカのキリスト教教会が直面する課題を例に,人々が社会の変容に適応していく上で国際教育と多文化教育がどのような貢献をしていくことができるか,その可能性を探ってみたい。