肺転移性腫瘍モデルに対するIL-12の効果とそのエフェクター細胞の同定
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概要
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筆者らはこれまで, マウスの転移モデルを用いて, 悪性腫瘍の転移形成に対するサイトカインの影響について解析してきた。この過程で, 細胞性免疫を増強するサイトカインと言われているInterleukin12(IL-12)が, 悪性腫瘍の肝転移を強く抑制すること, またその効果を担っている細胞が肝臓にあるNK1.1^+αβTCR^^^intT細胞であることを明らかにした。一方, 口腔外科領域の悪性腫瘍の遠隔転移の頻度は肺において最も高く, そのことが予後を悪くしている。そこで筆者は, IL-12の肺転移への抑制効果を, マウスの実験的肺転移モデルを用いて検討した。その結果, IL-12は肺転移においても肝転移と同様に強い抑制効果を示すことがわかった。また, その際に働くエフェクター細胞は肝の場合と同様, NK1.1^+αβTCR^^^intT細胞であることも明らかになった。そして, ヌードマウスを用いた解析により, このNK1.1^+αβTCR^intT細胞は, 通常の成熟T細胞とは異なる細胞である可能性が示唆された。さらに筆者は, 口腔領域にみられる悪性腫瘍のうち最も発生頻度が高い扁平上皮癌のモデルとして, マウス扁平上皮癌の頭頚部皮下移植の転移モデルを用いて, IL-12の抗腫瘍効果について検討した。その結果, IL-12は皮下接種腫瘍の増殖および転移の双方において著明な抑制効果を示した。このことより, IL-12の臨床応用への可能性が示唆された。