マウス可移植性腫瘍における肺転移能と接着分子 : CD44の発現との相関
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概要
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11種類のマウス可移植性腫瘍を用いて, 腫瘍細胞表面に存在する接着分子 : CD44の発現と, 肺転移能との間に強い相関があることを見出した。CD44分子のリガンドには, ヒアルロン酸コラーゲン, フィブリノーゲンなどが報告されている。また, コンドロイチン硫酸やヘパラン硫酸の付加を受けたCD44分子の存在も知られている。これらのCD44分子の性状に基づいて, 腫瘍細胞の肺転移性を以下の様に分類することができた。1)静脈内接種によって, 著明な肺転移巣を形成する腫瘍細胞は, ヒアルロン酸との結合能を有するCD44分子を持っていた。免疫組織化学的に観察すると, 腫瘍接種後3日目に, 肺胸膜側にヒアルロン酸の発現が認められ, 6日目には, その位置に一致して転移結節が認められた。転移巣においても腫瘍細胞はCD44陽性で, ヒアルロン酸結合能を有していた。2)皮下接種によって, 著明なリンパ節転移を伴う肺転移巣を形成する腫瘍細胞は, ヒアルロン酸との結合能を有せず, ヘパラン硫酸が付加されたCD44分子を持っていた。3)経静脈的又は経皮下的いずれの接種経路によっても, 著明な肺転移巣を形成しない腫瘍細胞は, CD44分子を持たなかった。4)CD44分子以外の接着分子の発現に, 肺転移能との相関は認められなかった。
- 1993-06-30
著者
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