<原著>高齢者および中年者の最大下運動に対する循環応答と最大酸素摂取量
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概要
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1. 加齢に伴う最大下の循環応答と最大酸素摂取量を求めるために, 男性高齢者(n=10,年令70.6歳, 身長162.2±6.9cm, 体重59.29±6.49kg), 女性高齢者(n=6,年齢70.4歳, 身長150.4±3.0cm, 体重47.15±6.37kg)と中年男性(n=10,年齢35.1,身長168.9±6.0cm, 体重64.05±10.90kg)および中年女性(n=10,年齢34.0歳, 身長156.8±3.8cm, 体重51.90±5.65kg)を対象に3段階の自転車エルゴメータ運動を行なわせた。2. 男性の最大酸素摂取量は, 高齢者群27.5±6.0ml/kg・分, 中年者群39.4±9.1ml/kg・分と有意な差がみられた(P<0.01)。一方, 女性では高齢者群37.6±7.3ml/kg・分, 中年者群39.5±8.8ml/kg・分とほぼ等しい値であった。3. 男女とも高齢者群は運動負荷の増加に対して, 心拍数も直線的に増加し, 心指数と負荷との関係は中年男女群の応答と類似していた。4. 運動負荷の増加に対する収縮期血圧の上昇は, 男女とも高齢者群が顕著であったが, 拡張期血圧は中年群と同様ほとんど変化しなかった。5. 運動に対する男性高齢者のRate Pressure Product値はつねに中年者群より高い値であった。一方, 女性高齢者の運動に対するRate Pressure Productの値は中年者群の値とほぼ等しかった。この男女高齢者の負荷漸増運動に対するRate Pressure Productの違いは, 主として両群間にみられた有酸素的体力レベルの差によると結論される。なお, 小論は平成1年度および2年度に健康科学センターの教官および職員の全員によって行なわれた研究を著者がまとめたものである。
- 九州大学の論文
- 1991-02-08