程度副詞 "頗" "甚" 的用法
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概要
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現代中国語では、「頗」( 頗る) 「甚」( 甚だ) はほとんど話し言葉には登場せず、もっぱら書き言葉に用いられ、程度副詞として状態や事柄などの程度が甚だしいことを言い表わす。「頗」( 頗る) は、主に形容詞や状態性のある動詞及び動詞的フレーズなどを修飾するが、それ自体に量性がないため、動作や行為などを表わす動詞を修飾できない。 しかし、「一点」「一些」などの量的語句と共起し「頗+ 被修飾語+ 量的語句」という構造を作った場合、動作動詞・変化動詞などが修飾できるようになり、動作や行為などに内包された数量や時間などを言い表わすことができる。またこの構造で形容詞や状態動詞などに含まれた量性をも修飾し、状態が持続した時間やその状態の含量を表現できる。他の程度副詞と連用する際には承後性しか持たず、「頗有点」「併有些」の構造で使われるが、承前性は認められない。 「頗力」は「頗」の強調形として用いられる。「頗カ」は二音節語なので、被修飾語が二音節語であることを必要とし、一音節語を修飾の対象としないという点では「頗」と違っている。そして主に形容詞を修飾し、動詞や動詞的フレーズなどを修飾しえないことから、「頗」よりは使用領域が狭いけれども、量的語句と結び付いて形容詞に含まれた量性を修飾できるという点では、それとあまり変わらない。 「甚」( 甚だ) は、- 音節の形容詞を修飾するだけで、形容詞の否定形式や動詞などを修飾できず、量的語句との共起も許容されないという点では、「頗」と違っている。その強調形の「甚カ」は二音節語であるせいか、二音節の形容詞しか修飾できず、修飾語と被修飾語が音節的に釣り合いが取れていることを要求する。この点では「頗力」と大体共通している。 「頗」は客観的に事物を捉え、碗曲的で含蓄ある程度評価を言い表わすのに対し、「甚」は個人的な感情を込めて程度の甚だしさを大袈裟に強調し、誇張的表現に用いられる。
- 2001-03-21