霧島火山の地質
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概要
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霧島火山は,九州南部に位置する第四紀の複成火山であり,歴史時代の噴火記録も多く残る活火山である.20あまりの小さな火山体と火口が北西-南東方向に長い30kmx20kmのほぼ楕円形をした地域に集中している.霧島火山の活動は,加久藤火砕流の噴出(約30万年前)に引き続いて起こり,休止期をはさんで古期と新期に区分できる.古期の活動では,その基盤の上に多くの火山が形成され,現在見られる霧島火山の土台が完成した.新期の火山活動は,古期の活動後数万年の休止期をはさんで,約10万年前にはじまり,現在にいたっていると考えられる.新期の火山活動では,多くの小型成層火山,マール,単成の溶岩流などが生じた.霧島火山には西暦742年以来多くの噴火記録があるが,そのほとんどは御鉢と新燃岳で起こっている.新期霧島火山の活動を通じて,長期のマグマ噴出率は日本の第四期火山の平均に近い.しかし,詳しく見ると,活動は一様に行われてきたのではなく,溶岩流出型活動期-静穏期-爆発型活動期という変遷を休止期をはさんで2回繰り返していることがわかる.Kirishima Volcano is a Quaternary composite volcano situated in southern Kyushu, Japan. It occupies an area of about 20km x 30km elongated in the northwest to southeast direction and contains more than 20 eruptive centers which have been repeatedly active. Basement rocks of Kirishima Volcano are Cretaceous to Paleogene sedimentary rocks(Shimanto Supergroup) and early to middle Pleistocene volcanic rocks. During the middle Pleistocene, at least three voluminous ignimbrites(the Kobayashi, Shimokado and Kakuto Ignimbrites) erupted from Kobayashi and Kakuto calderas situated to the north of Kirishima Volcano.
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