新宮実験場産アマゴの生物学的特性
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概要
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当実験場産ならびに醒井養鱒場産アマゴを飼育し, 両者の生物学的特性について比較検討した結果, 下記のことが明らかになった。1.成長や相分化までの斃死状況は両者とも同様の成績を示したが, 相分化後の11月上旬以降において, 銀毛魚, パーでは両者とも斃死数は少なく差は見られなかったが, ダークパーの出現率と斃死数は当実験場の方が多く, 出現数は醒井産の約2倍, 斃死数は3.5倍に達した。2.体側の朱赤点は両者とも体重2g前後から出現し差異は認められなかったが, 当場産のアマゴの方が朱赤点は大きく鮮明であった。3.当場産アマゴのパーマーク数を調べた結果, パーマーク数8個の個体が最も多く, その平均は8.5個であった。一方, 醒井産のそれは7個の個体が多く, その平均は7.5個であった。4.相分化について両者間で比較した結果, 両者とも10月下旬から出現し, それ以降1月中旬まで増加するが, 銀毛魚の出現率は当場産と醒井産では大きな差が見られ, 1月22日の最終調査時では当場産32%の出現率に対し, 醒井産は70%であった。一方, パーでは10月下旬から11月中旬にかけて減少し, その出現率は両者とも3〜4%まで低下した。これは両者ともダークパーを除く殆どのものが, パーから銀毛パーへと移行したためである。その後, 当場産のものは銀毛パーへ移行中の一部が, 銀毛魚に移行せずに逆にパーに移行したため, パーの出現率は再び増加し40%の高い値となったのに対し, 醒井産ではパーに退行する個体が少ないため, その出現率は僅か10%と低く, 両系統間で大きな差異が見られた。5.両者の成熟時期を見ると, 排卵の時期は当場産が5日程早かったが, 放精時期は略同時期であった。卵径, 卵重, 体長に対する孕卵数, 卵の孵化成績等の再生産形質では両者間で差異は認められなかった。
- 近畿大学の論文
- 2000-03-25
著者
-
山本 慎一
近畿大学水産研究所新宮実験場
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伏木 省三
近畿大学水産研究所新宮実験場
-
仲 和弘
近畿大学水産研究所新宮実験場
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清水 寿一
近畿大学水産研究所新宮実験場
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山本 愼一
近畿大学水産研究所新宮実験場
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仲 和弘
新宮実験場
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伏木 省三
新宮実験場
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山本 慎一
新宮実験場
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清水 寿一
新宮実験場
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