"はくちょう"による X 線パルサー GX 301-2と Cen X-3の観測
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概要
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X線天文衛星"はくちょう"は1982年3月から5月の間に2つのX線パルサーCen X-3 と GX 301-2を観測した。この時, 1982年4月と5月に回帰型X線パルサーGX 301-2からの2回にわたるフレアを観測した。GX 301-2からのX線は軌道運動に伴って変動する以外に, X線のパルス成分は全体の強度に関係なくしばしば弱くなり, 時にはパルスが検出されない事を見出した。そしてパルスが検出されない時の強度は, 前後のパルス成分を持つ時の谷の強度と同程度である。このれは, パルスをする成分とパルスをしない成分は独立に変化していると見なすことができる。このことから, GX 301-2の輻射は, 強度変動の穏やかな, 等方的なX線と, 強度変化の激しいビーム状のX線とからなっていると解釈することができる。一方, Cen X-3では, X線強度が強い状態から弱い状態への遷移現象を観測した。このような遷移現象は, 過去においても観測されており, これまでは単純に中性ガスによるX線収量の変化によると考えられていた。ところが, X線強度が弱い状態のスペクトルの低エネルギー側での強度は, 強度が強い状態での吸チエネルギー側のスペクトルを中性ガズで吸収したと仮定したのでは, 期待されるべき強度を有意に越えている。このような低エネルギー側での強度過剰は, これまでに見出されていない性質である。このスペクトルは, 連星の食中に観測されるスペクトルと良く似て, kT∿6keVの高温プラズマによる熱制動輻射として矛盾しない。また, 低エネルギー側の成分は, X線強度が状態でも観測され, 吸収の影響を受けない領域から出ていると考えられる。この軟X線成分の1部にはCen X-3 と関係しない拡散X線成分が混入していることも考えられる。 このように, X線パルサーの数日の時間尺度での強度変化には, 質的に異なる2つの形態が有ることが判明した。1つはGX 301-2のように大きな離心率を持つ軌道運動に伴う変化である, もう1つは Cen X-3 のように離心率も軌道周期も小さいが前者と同程度に長い時間尺度での変化である。これらは, 中性子星の置かれている環境により多少の差異はあるが, どちらも主星からの物質流入量や周辺のX線吸収量の変化に起因している。両者に共通することは, X線強度が弱くなると低エネルギー側(≤3keV)にパルスをしない成分が目立ってくることである。又, X線パルサーは一般にパルスをしない成分を持っていることが分かった。特に, GX 301-2の場合, この成分が一見してパルスをする成分と独立に変動する。
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