<原著>高齢者の入浴,食事,排泄,移動の自立状況と痴呆度に関する報告 : 老人保健施設の入居者における分析から
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概要
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研究目的 : 某老人保健施設の入居者における痴呆度(1993年厚生省作成痴呆性老人の日常生活自立度判定基準)と基本的日常生活自立状況4項目(入浴,食事,排泄,移動)と寝たきり度との関連性を分析し,介護アセスメントの視点を明らかにすることである。調査対象は,老人保健施設の入居の男女66歳から101歳の127名であり,痴呆度と寝たきり度と入浴,食事,排泄,移動状況について分析した。その結果は以下のとおりである。1)寝たきり度と痴呆度は,互いに影響し合っていた。2)寝たきり度と4項目の日常生活自立状況は,かなり相関があり,痴呆度と日常生活自立状況は,痴呆度の中等度以上との相関があった。3)痴呆度と食事状況との関係は,自立しているものが7割で有意差があった。4)痴呆度と排泄状況とは比例し,排泄リハビリテーションが必要であった。5)痴呆度と入浴状況(椅子浴,中間浴,機械浴)では,痴呆度III・IV度に比例していた。6)移動状況は,独歩2割,杖歩行2割,車椅子6割であった。 以上から,介護アセスメントの視点として,高齢者の属性,寝たきり度,基本的日常生活自立状況項目の入浴,食事,排泄,移動状況を中心に,痴呆度,身体状況,介護環境等との判定の必要性が示唆された。さらに個別的な痴呆予防のため,生活リハビリテーションが最優先となる。
- 2000-03-15