八重山郡波照間島の農業生産組織(農学科)
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概要
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波照間におけるさとうきび収穫作業の共同化は沖縄本島では見られない組織で, これは祭祀への参加によって培かわれた強力な共同体で今後は近代化された組織として発展させる必要がある。そのためには港湾や航空路の整備により海, 空による交通網の充実, その他社会基盤の整備等により農業にみ力を持たせることが後継者確保上重要なことである。今後機械化による作業体系が導入されると思われるが, この島には農業経営の推進上解決すべき問題が多々あるように思う。現在飲料水は天水に依存し, 農業用水の施設も至って貧弱である。しかしこの島には地下水が相当豊富にあると聞いているので, 先ずはこの水資源の開発が急務である。耕地の大部分がさんご石灰岩を母岩とするマージ土壌なので土地改良の必要を痛感するものであるが, 離島故客土の如きは相当至難のことであろう。その他耕地内の母岩や転石の除去, 防潮防風林の造成, 3000筆余にのぼる耕地の交換分合, 農道や流通機構の整備充実等機多の問題が残されている。従ってさとうきび収穫の共同化にもさしあたり地形や土壌に適した収穫機の導入が必要である。
- 1974-12-01