琉球産土壤の微量要素に関する研究 : III 沖繩産岩石と土壤およびそれに生育する作物のマンガン含量(農芸化学科)
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概要
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1.沖縄各地から採取した土壌サンプル73ケ所95点, 作物葉サンプルとして甘蔗, 甘藷, パインアップル, ミカン其他計87点, 又, 母岩と思われる岩石57点についてマンガン量を定量した。土壌については全マンガンの外に置換性, 易還元性マンガンの定量を行い, 植物, 土壌, 岩石のマンガンの関係について調査した。2.岩石中のMn量を見るに琉球石灰岩16ケのMn分析では40∿730ppm, 平均299.9ppmであった。又古生界石灰岩, 粘板岩, 泥灰岩ではその平均が夫々289(7ケ平均), 419(21ケ平均)391(6ケ平均)ppmであった。石灰岩質土壌に所々マンガン結核が見出されたが, 多いのは14,400ppmに達した。(Table2及び7)3.母岩, 土壌間にはサンプルについて相関は見出されなかった。例えば琉球石灰岩は粘板岩よりもMn含量が少いにも拘らず, 琉球石灰岩土壌の方がMn含量が高かった(Table7参照)。4.土壌中の3型マンガンと作物葉サンプル中のMnとの間にもパインアップルを除いては相関はなかった。5.パインアップルについてはその含量と土壌の3型マンガンとの間に何れも高い相関のあることを知った。これはパインが酸性愛好植物で似かよったpHの土壌で栽培されたことと略同じ季節に葉を採取したことによろう。又パインアップル葉中のMnのToxic Levelは700∿800ppm辺にあろうと思われた6.植物葉中のMn含量には著しい差のあることを知る。(1)甘蔗一主として第5葉を取り, 葉身と葉梢に分けて定量を行った。葉身, 葉梢を通じて2.5∿377.5ppmであった。台風の影響を受けたと思われるものを除いて見ると, 葉身のマンガン137.9ppm葉梢の平均が112.4ppmとなり, 葉身のマンガン含量が高かった。(2)甘藷は葉身, 葉柄, 蔓の3部に分けて分析したが, Mn含量が葉身, 葉柄, 蔓の順で葉身の含量高く, 平均77.7ppm, 葉柄で27.7ppm, 蔓で21.4ppmであった。(3)パインアップルは第4,5葉について分析を行ったが, 台風の被害を受けてないものは36.3∿882.5ppm, 平均453.6ppmで, 他の作物よりマンガン含量が高い。(4)ミカン葉-新梢の全葉を分析に供した。そのせいかもしれないが, マンガン量は低く2.5∿67.5ppm, 平均19.7ppmであった。(5)其他インゲン, バンジロ, 茶葉, ソウシジュ, 山東菜, 大根, 高梁葉中のマンガン析を行った。7.文献Reviewを兼ねて作物マンガンと土壌マンガンについて論議を試みた。8.最後にToxic LevelとDeficient Levelを文献に徴して表記した(Table 10)。
- 1970-12-01
著者
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