沖縄県の森林資源と素材生産に関する研究
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概要
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沖縄の森林は戦中,戦後の乱伐,本土復帰後はダム開発や農地開発等によって減少している。単純に計算すると,本県の森林面積の44%は制限林及び米軍用地で,残りの56%が林業生産に規制のない森林である。木材生産の中心は民有林,とりわけ公有林であり,木材生産力の極めて低い私有林をいかにして生産力化するかは今後の大きな課題である。今のところ国有林からの木材供給は大して期待できない。沖縄の森林には各種用途に適し,量的にまとまりのある木材資源が非常に少ないために,今日も県産材を利用した木材加工業は十分育成されにくい状況にある。このため,市場のニーズに対応した木材資源の量的・質的整備を積極的に図ることが非常に大事である。一方で沖縄本島北部の森林では自然保護に配慮した林業生産が強く求められており,今後とも小面積分散伐採や小動物の移動のたやすい林道工法等を積極的に推進して行くことが大切である。本土復帰後の各種開発で生ずる支障木の有効利用が注目される。今日,専業の素材生産業者はわずか3事業体であり,素材生産は少量・分散伐出である。各地域の林道網の整備も必要である。マツクイムシの被害を受ける前にリュウキュウマツを積極的に利用する体制を整備して,マツクイムシ被害地域のマツの有効利用を促進すべきである。伐倒マツ材への青かび(青変菌。ブルーステイン)の侵入を阻止するための搬入木の保管庫,乾燥施設等の整備も必要である。沖縄の林野所有の特徴は公有林が多いことであり,木材の計画的,安定的供給に果たす県や市町村の役割や責務は極めて大きい。森林資源を整備して木材を計画的・安定的に供給するためには国や県,市町村の強力な支援が必要である。
- 1999-12-01
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